With! stories

東京歴建の裏側にある物語や想いをご紹介。

上智大学一号館
K さん  M さん 

90年の歴史を刻む上智大学一号館 〜教育の場として歩み続ける東京歴建〜

INTERVIEW

 上智大学四谷キャンパスのランドマークとして親しまれる『上智大学一号館』。1932年に建設された同館は、2024年に東京都選定歴史的建造物(以下、東京歴建)に選定されました。第二次世界大戦中の東京大空襲を免れ、現在も教室として活用され続けているこの歴史的建造物について、運営に携わるお二人にお話を伺いました。
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K さん
学校法人上智学院 総務局 環境整備グループ
グループ長

M さん
学校法人上智学院 総務局 環境整備グループ
元グループ長

上智大学一号館 建物詳細ページ

千代田区紀尾井町7番1号 website: https://www.sophia.ac.jp/jpn/ tel: 03-3238-3111

上智大学四谷キャンパスのランドマークとして親しまれる「上智大学一号館」。1932年に建設された同館は、2024年に東京都選定歴史的建造物(以下、東京歴建)に選定されました。

『上智大学一号館』との出会いと想い

はじめに、お二人と『上智大学一号館』の出会い、運営に関わるようになった経緯を教えてください。
Kさん:学校法人上智学院 総務局 環境整備グループでグループ長を務めています。上智大学を卒業し、そのまま学校法人に就職し、主に人事や学生支援の業務に従事してきました。2023年の7月、定期人事異動で現職を拝命して、2024年12月時点で約1年半となります。
 
 『上智大学一号館』との関わりについては、大学受験で来たのが初めてです。私の時代はオープンキャンパスなどはない時代でしたので、受験当日に初めてキャンパスに来ました。まず駅から近くてびっくりしたのと、趣があるな、雰囲気のいいキャンパスだなと思いました。確か一号館で試験を受けた気がします。

 無事に合格することができ、入学してからは、一号館で授業もたくさん受けました。40人程度のこじんまりした教室が多くアットホームな雰囲気で、少人数で受ける授業は一号館が多かったという印象です。
Mさん:私は2015年から2022年までの約7年間、グループ長をしていました。退任後の現在も運営をサポートしています。上智大学で働くことになった際に初めてキャンパスを訪れた時、他の建物は比較的新しい中で、一号館の歴史的な佇まいに強い印象を受けました。
環境整備グループは、具体的にどういう役割なのでしょうか?
Kさん:わかりやすく言うと、「管財(かんざい)」です。担当する範囲はかなり幅広く、キャンパスの管理や運営、設備関係をはじめ、廃棄物、エネルギー関係、それに加えて施設の貸し出しもあります。教室・グラウンドなどを、学内だけでなく学外の方に貸し出すことも環境整備グループの仕事です。

 現在は、環境に配慮したキャンパス作りや、再エネ100%達成といったエネルギーに関する目標もあります。単に施設を管理運営するだけではなく、環境にもフォーカスするということで、2022年4月に管財グループから環境整備グループに名称が変わりました。

伝統を守り、安全を築く日々の取り組み

『上智大学一号館』の運営で、どのような苦労がありますか?
Kさん:古い建物では、 補修・修理が頻繁に発生します。上智大学は1913年に開校して既に110年を超えていますが、一番古い建物は1932年に建設されたこの一号館です。 それ以外にも、四、五十年経っている建物もあります。

 「学生たちが安心して学べる環境作り」という意味では、何よりも安全が一番重要なので、施設の補修は欠かせません。学生のSNSを見ると「いつも何かの工事をやっている」などと書かれたりしますが、利用者の安全と利便性を追求しながら、施設の管理に引き続き努めたいと考えています。
補修する際、どのような点に配慮していますか?
Kさん:機能面だけでなく、見た目のイメージを損なわないという点にも配慮して補修を行っています。色々な補修を行ってきましたが、例えば昔は鉄製だった窓枠は、現在はアルミに変わっています。そのような大きな補修の中でも、できるだけ昔の味を残すことを意識して進めています。

 雨どいも傷んできている部分がありますが、取り換えると見た目のイメージが大きく変わってしまうため、古いものを補修をしながら使っています。
Mさん:外壁のレンガは、きちんと診断をして老朽化の度合いを判断し、張り替えたり補修をしたりしています。レンガは老朽化し落ちてくると怖いので、しっかりと管理する必要がありますし、見た目の点で色を合わせるという点でも苦労があります。

現代に息づく歴史的建造物の姿

『上智大学一号館』は、現在はどのように使われているのでしょうか?
Kさん:かつては事務室、図書館、教室、食堂がありましたが、現在は、多くが教室として使われています。1932年に竣工式が行われた講堂は現在もあり、学生の演劇団体のパフォーマンスの場として使われています。

 一号館では、さまざまな学部、学年の授業がおこなわれています。全学共通の科目が配されることもありますし、ある学科の語学の授業が行われるなど、さまざまです。ほとんどの学生が何らかの授業で利用していると思います。
Kさんは、学生として受験し授業を受けることから始まり、後にお仕事として運営側として携われています。何か印象は変わりましたか?
Kさん:改めて、上智大学のシンボルなのだなと感じています。キャンパスツアーやオープンキャンパスでも、「一号館前には初代学長のヘルマン・ホフマン師の銅像があり、ここは上智大学で最も古い建物です」という話をするので、歴史的な建物だということは学生たちも認識していると思います。

 1階の廊下に時計があるのですが、卒業式には必ず写真を撮る行列が出来ています。建物の前でも写真を撮っている卒業生は多く、そのような光景を見ていると、本当に上智大学のシンボルだなと思います。その他にも、上智大学のグッズには、一号館が使われていることが多いです。働き始めて改めて学生たちにとっての一号館の意味を感じるようになりました。

東京歴建選定が開く新たな可能性

東京歴建に選定された際の状況について教えてください。
Kさん:東京歴建には2024年6月14日付で選定されました。東京都の担当の方からご連絡をいただいて、お話を伺いました。詳しくお話を聞かせていただく中で、「とてもありがたいな」という印象でした。

 ありがたいと思う一方で、選定されることでいろいろな制限が発生するのではという不安がありました。担当の方からは、建物の外観の保存に努めて頂きたいというお話だったので、大学側の負担は少ないものと判断し、前向きにお話を進めさせていただきました。
With!東京歴建PROJECTに対して期待することがあれば教えてください。
Kさん:上智大学の学生に誇りに思ってもらいたいというのもありますが、社会的な存在として大学外の方々にも一号館を知っていただきたいです。都内にこのような建物や緑がある場所は、なかなか珍しいと思います。東京歴建の選定をきっかけに、歴史的な観点で上智大学を見ていただけるようになると、とてもありがたく、嬉しく思います。
来訪する際のおすすめの見学方法や、注意点があれば教えてください。
Kさん:キャンパス内に入る際には、守衛さんに一声かけてください。建物に近づいてみていただけますが、建物内には入らず外からご覧いただきますようお願いします。その他、入試期間など、入れない日や時間帯があるため、HPで確認してからご来訪ください。

 一号館前には、2022年に新しくS-TERRASSE(エス-テラス)ができました。気候のいいときは、お昼休みに多くの学生がお弁当を食べたり思い思いに過ごしています。学生たちのモダンな雰囲気と一号館の歴史的な雰囲気が相まって、それもまた絵になると思います。ぜひ気軽に足を運んでください。

K さん
学校法人上智学院 総務局 環境整備グループ
グループ長

M さん
学校法人上智学院 総務局 環境整備グループ
元グループ長

上智大学一号館 建物詳細ページ

千代田区紀尾井町7番1号 website: https://www.sophia.ac.jp/jpn/ tel: 03-3238-3111

上智大学四谷キャンパスのランドマークとして親しまれる「上智大学一号館」。1932年に建設された同館は、2024年に東京都選定歴史的建造物(以下、東京歴建)に選定されました。

インタビューを終えて

 歴史的な建物が現在も現役の教室として使われている様子には、特別な空気感を感じました。それは当たり前のことではなく、運営する方々をはじめ、歴史的な建物をこれからも大切にしていきたいという多くの方の努力によって保たれているのだということを、改めて実感した取材でした。補修が繰り返されているレンガの壁や、建物全体の壮大な雰囲気など、見どころはたくさんあります。ぜひ『上智大学一号館』を訪れ、歴史に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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