東京歴建の魅力
東京歴建の魅力をくわしくご紹介。
公益社財団法人 大学セミナーハウス
こんな建物見たことない!現役の宿泊施設『大学セミナーハウス本館』へ
REKIKEN
出典:大学セミナーハウス都心からおよそ1時間、八王子市多摩丘陵にある『大学セミナーハウス本館』は、「東京都選定歴史的建造物(以下、東京歴建)」に選定されており、遠くからでも目を引く特徴的な形状の建物です。
歴史的建造物でありながら、今も宿泊施設付きセミナー施設として利用されています。
どのような建物なのか、一緒に探検していきましょう。
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公益社財団法人 大学セミナーハウス
東京都八王子市下柚木1987-1 website: https://iush.jp/ tel: 042-676-8511
『大学セミナーハウス』について
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東京都八王子市の多摩丘陵の一角にあるひときわ目を引く建物、それが『大学セミナーハウス本館』です。
1965年7月『大学セミナーハウス』は人格的接触の希薄化を招いた大学教育の補完と、国・公・私立の大学の壁を越えた交流を目的として設立されました。
敷地面積は2万2400坪(約7万4000平方メートル)。
都会の喧騒から離れた緑豊かな環境の中、現在もさまざまな合宿や企業研修など、学生・教職員はもちろん、一般・社会人の方々に利用されています。
『大学セミナーハウス』を設計したのは、世界的な建築家であるル・コルビュジエの教えを受けた吉阪隆正氏。
日本の建築界に大きな遺産を残した吉阪氏ですが、『大学セミナーハウス』もその一つです。
楔形の本館をはじめさまざまなユニークな形状の建物が並び、自然と融合しながら見事な景観をつくりだしています。
本館は建築としての評価も高く、1999年にDOCOMOMO Japanから「日本におけるモダン・ムーブメントの建築No.019」に選定されています。
東京都は、歴史的な価値を有する建造物のうち、景観上重要なものを「東京都選定歴史的建造物(以下、東京歴建)」に選定しています。
『大学セミナーハウス本館』は、2015年に開館50周年を迎え、歴史的価値も加わったことで、2017年3月に東京歴建に選定されました。
『大学セミナーハウス本館』の外観は必見!
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本館の形状は、上の方が大きくなっている設計。外観だけでなく、中の様子、中から外を眺めた光景もぜひ楽しんでください。
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『大学セミナーハウス』の敷地内にはさまざまな建物がありますが、一番の注目は本館です。
ピラミッドを逆さにしたような形状をはじめて目にしたら、誰もが驚くに違いありません。
本館の形状は、「大地に知の楔(くさび)を打ち込む」というコンセプトを形にしたもの。
そう聞いて外観を見ると、確かに大地に大きな楔が打ち込まれているように見えます。
この形状ゆえに雨が降ったときに外壁が濡れにくくなっており、完成から50年以上が経過した今も、コンクリートの劣化もさほど進まず良い状態を保っているそうです。
建物の周りを一周すると、ある一面にまるでこちらを見つめているような「目のレリーフ」が現れます。
思わず背筋が伸びるような感覚に陥るかもしれません。目のレリーフを見ると、自分が見つめられている感覚に。 (出典:大学セミナーハウス)
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本館は、屋根をはじめ、床や基礎などには強度を保つためシェル構造が採用されています。
シェル構造とは貝殻のような曲面を持たせ、荷重を分散させることで、軽くて強い構造物を作る建築方法です。
いよいよ、不思議な形の本館の中へ入ります
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本館1階には、『大学セミナーハウス』のフロントがあります。
見学に来た旨をスタッフの方に伝えると、パンフレットの資料を受け取れます。
『大学セミナーハウス』について知りたいことがあれば、ここで確認してください。上部フロアへと続く階段。下のフロアが見下ろせるところもあるので、上からの眺めも楽しんでみてください。
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1階から2階へ上るときは、階段の手すりに注目してください。
この手すりは既製品ではなく、一つひとつ特注で作られたもの。
断面を見てみると「葉の形」になっており、若者が集う緑豊かなセミナー施設の象徴となっています。手すりの形状や角度一つひとつにこだわりが詰まっています。設計者はどんな意図を込めたのでしょう。
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手すりの工夫は断面のデザインだけでなく、「触る」「つかむ」「滑らせる」「寄りかかる」「もたれる」「腰掛ける」などさまざまな利用状況を考えて形状や角度が設計されているそうです。
ぜひ触って設計者の意図を感じてみましょう。
階段を上ると、何階にいるのか分からないような感覚に
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『大学セミナーハウス本館』は、外観だけでなく、内部も至るところが斜めになっています。
階段を上っているときも不思議な感覚になり、慣れるまでには時間がかかるかもしれません。3階ラウンジは、広々とした空間で自由に利用できる共有スペース。
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1階、2階、3階…と厳密なフロア設定がされていないのも特徴です。
階段を登っていきながら、「自分は何階にいるのだろう?」と分からなくなるかもしれません。壁や天井にあるさまざまな形の「明かり取り」にも注目!
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他にも、本館から講堂へつながる「コンクリートブリッジ」もあります。
その特徴的な色をチェックしてみましょう。
今も利用されている宿泊ルームや、全体の模型図も
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本館内には、現在も利用できる宿泊ルームがあります。
『大学セミナーハウス』には多くの宿泊施設があり、本館以外の宿泊施設を利用されることが多いですが、本館内に泊まることも可能です。
「設計家の吉阪隆正さんが好きで、どうしても本館の部屋に泊まりたい!」という方もいらっしゃるそうです。客室の壁の角度にも注目してみてください。
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その宿泊ルームを見ながらさらに上へと上っていくと、本館を含む『大学セミナーハウス』全体の模型があります。
見学の最初にこの模型を見て、全体像を把握してから見て回るのもいいですね。本館以外の建物もそれぞれ特徴的な形状をしており、見どころはたくさんあります。
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いくつかのフロアを回りながらどんどん進むと最上階に到着します。
最上階から下を眺めると、まるで浮いているかのよう
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最上階のホールは、セミナーはもちろん、パーティー会場としても利用できます。
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最上階は、『大学セミナーハウス本館』の中で一番広いフロアです。
かつて食堂として利用されており、最大200名を収容することができたそうです。
フロアの奥には、今でも食堂だった頃のキッチンが残っています。
現在は大人数向けのセミナー会場として利用されています。館内のいたるところに窓があり、自然の光を優しく取り入れています。
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最上階から、窓の外の風景を眺めてみてください。
多摩丘陵の上のしかも最上階、すばらしい景色が全方向に広がっています。
高いところが苦手でなければ、窓から建物の下を覗いてみましょう。
足の下に建物がなく、宙に浮いているような感覚になるかもしれません。一面の雪景色。自然豊かな環境で、四季折々の表情が楽しめます。
『大学セミナーハウス』の本館以外にも注目!
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『大学セミナーハウス』には、本館以外にもさまざまな建物があります。
それぞれの施設を合わせると、セミナー室20室(10名から150名まで利用可能)と宿泊室111室(計296名宿泊可能)があり、他にもグラウンドやバーベキュー場、食堂などさまざまな施設があります。
本館以外の建物も、それぞれ趣の異なる設計で見どころがあります。
時間に余裕がある方はぜひ敷地内を散策してみてください。
建物を見学するなら、建物の手すりやドアの取っ手、部屋番号のプレートなど細部にも注目してみましょう。
細かい点にもさまざまな工夫がされており、設計者の遊び心や職人の技術が感じられます。あちらこちらに遊び心を感じるデザインが!なぜこのような形なのか、考えながら見学してみてください。
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自然豊かな多摩丘陵では、四季折々の樹木や花も楽しめます。
桜が満開の春に訪れるのもいいですね。
秋には紅葉で敷地内が秋色に染まります。
他にもアジサイやツバキなど、その時々の情景を楽しんでください。
植物以外にも、野鳥の観察、夜には天体観測など、近隣の方々もよく訪れるそうです。
建物を楽しむだけでなく、自然の中でゆっくりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
何をするかはあなた次第!活用の可能性を探ってみよう
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『大学セミナーハウス』は、宿泊施設付きセミナー施設ということで、東京歴建の中でも他とは一味違う楽しみ方のできる建物だと思います。
「自由度の高い使い方ができるので、まずは一度足を運んでいただき、新しい活用方法をカタチにしてほしい」
『大学セミナーハウス』の運営に関わっているみなさんからのメッセージです。
一人でのんびり過ごす、友人や家族と語り合ってみる、会社の同僚と勉強会を企画する、楽しみ方はあなた次第です。
ぜひ一度、『大学セミナーハウス』を訪れ、その魅力を肌で感じてください。
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公益社財団法人 大学セミナーハウス
東京都八王子市下柚木1987-1 website: https://iush.jp/ tel: 042-676-8511