御前会議での勅許を得るチャンスは一度きり。特別な土地に建った駅
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「博物館動物園駅」が開業したのは1933年12月です。京成電鉄が上野方面への延伸を進める中で、日暮里駅と上野公園駅(現:京成上野駅)の中間に位置する駅として誕生しました。
この駅の建設で最大の難問となったのは、皇室で代々引き継がれてきた「世伝御料地(せでんごりょうち)」という特別な土地に駅をつくることでした。この土地に駅舎を建設するには、御前会議での天皇陛下の勅許を得る必要がありましたが、御前会議に臨めるのは一度きり。否決された場合は打つ手がないという大変厳しい状況でした。そのような状況でしたが、京成電鉄は都心乗り入れという悲願を達成するため、不退転の決意で御前会議に臨み、1932年3月に無事勅許を得ることができました。
上野公園エリアの鉄道敷設工事では厳しい条件が付されました。公園の地上部は走行不可のため地下トンネルを掘る必要がありました。加えて公園内の樹木を損傷してはならず、地中の根を避けて線路の位置が決められました。こうした難題を一つひとつクリアした結果、上野公園内に「博物館動物園駅」が誕生したのです。
古代ギリシャの神殿を思わせる荘厳な外観。「世伝御料地」という特別な土地に建てられた
